2018年09月30日

所有権絶対の原則、私的自治の原則の修正

近代市民法原理により、個人の自由な経済活動が保障された結果、資本主義が飛躍的に発展した。
しかし、これにより弊害も出てくる。すなわち、資本家と労働者の階級的対立、公害問題の発生などにより、市民法原理の修正が必要になったのである。

所有権絶対の原則については、民法上にも修正が現れている。

(所有権の内容)
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

「法令の制限内において」とあるとおり、所有権が無限に認められるわけではないことが示唆されている。
また、次の規定からも、制約を受けることが読み取れる。

(基本原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。

つまり、所有権の内容及び行使が、公共の福祉ーー社会一般の利益に適合するように制約されることを意味しているわけである。

私的自治の原則も修正を余儀なくされている。
契約自由の原則は、格差が生じている現状では、経済的実力が対等な場合にのみ妥当するものであり、経済的弱者のために、国家が契約締結を強制あるいは制限すると言ったような介入を余儀なくされているわけである。

過失責任の原則も公害問題や大事故が発生するようになると、妥当とは言いがたくなっている。
すなわち、被害者保護の必要性から、企業活動によって利益を得ている者はこれによる損害も負担すべきであるとする報償責任の考え方。あるいは、危険な活動をする者は、その危険により発生した損害を賠償すべきであるとする危険責任と言ったような考え方が生じる。
更に、故意や過失がなくても、損害賠償責任を負うべきであるとする無過失責任を認める立法も登場している。
posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 16:26| 民法