2019年04月18日

権利の変動 1−33 #司法試験 入門 択一式 #民法 オリジナル問題


次の記述のうち、正しいものはどれか?

1、乙は代理権がないにもかかわらず、甲の代理人として甲所有の不動産を目的とする売買契約を丙と締結した。契約当時、丙は、乙の無権代理について善意であった。この場合、丙は売買契約を取消すことができ、契約を取消した場合であっても、乙に対して、損害賠償請求をすることができないわけではない。

2、乙は代理権がないにもかかわらず、甲の代理人として、甲所有の不動産を目的とする売買契約を丙と締結した。契約当時、丙は、乙の無権代理について善意であった。甲が無権代理行為を追認した場合でも、丙は契約を取消すことができる。

3、乙は代理権がないにもかかわらず、甲の代理人として、甲所有の不動産を目的とする売買契約を丙と締結した。契約当時、丙は、乙の無権代理について、善意、無過失であった。甲が無権代理行為を追認した場合であっても、丙は乙に対して、無権代理人の責任を追及できる。

4、乙は代理権がないにもかかわらず、甲の代理人として、甲所有の不動産を目的とする売買契約を丙と締結した。契約当時、丙は、乙の無権代理について悪意だった。丙が甲に対して、売買契約を取消す意思表示をした後で、甲が追認したとしても、その追認は効力を生じない。

5、乙は代理権がないにもかかわらず、甲の代理人として、甲所有の不動産を目的とする売買契約を丙と締結した。契約当時、丙は乙の無権代理について善意、無過失だった。甲が無権代理行為について、追認を拒絶したとしても、丙は乙に対して、無権代理人の責任を追及できる。

胡桃「これは簡単だわね」
建太郎「おう。条文レベルの問題だな」


胡桃「まず、1から。丙は取消権を行使できるかしら?」
建太郎「できるな。相手方の取消権は、善意の場合に行使できると」

民法
(無権代理の相手方の取消権)
第百十五条 代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない

胡桃「そうね。じゃあ、損害賠償請求はどうかしら?」
建太郎「やはりできるよな。特に禁じられているわけではない。次の条文のとおり」

民法
(無権代理人の責任)
第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

胡桃「次、2はどうかしら?」
建太郎「本人が追認したら、有効な行為として確定するから、相手方から取消権を行使することはできなくなるよな。第百十五条に、本人が追認をしない間はとあるとおり」
胡桃「そうね。3はどうかしら?」
建太郎「やはり、本人が追認したら、もはや、無権代理行為ではなくなるから、無権代理人の責任を追及するという話にはならないと。第百十七条に本人の追認を得たときを除きとあるとおり」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「設問の丙は、悪意だったということだから、そもそも、取消権を行使できないな。第百十五条但書のとおりだ」
胡桃「そうね。すると、甲の追認はどうなるかしら?」
建太郎「もちろん、有効に効力が生じるな。選択肢は間違いだ」
胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「本人が追認を拒絶した場合は、無権代理行為として確定するわけだから、善意、無過失の相手方としては、無権代理人の責任を追及することができると」
胡桃「そうね。すると、答えは?」
建太郎「正しいのは、1と5だな」




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posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 09:00| 司法試験入門問題