2019年04月23日

権利の変動 1−34 #司法試験 入門 択一式 #民法 オリジナル問題

次の記述のうち、間違っているものはどれか。

1、表見代理が成立する場合は、相手方は無権代理人に対して無権代理人の責任を追及することができない。

2、表見代理規定のうち、代理権授与の表示による表見代理は法定代理に適用する余地はないが、権限踰越による表見代理は、法定代理にも、適用することができる。

3、投資勧誘行為も、代理権踰越による表見代理の基本代理権となり、この権限を越えて代理行為がなされた場合は、権限踰越による表見代理が成立する。

4、代理人が権限を越えて不動産を処分した場合は、その処分の相手方が無権代理であることについて、善意無過失でない時は、それ以降の転得者が善意無過失でも権限踰越による表見代理は成立しない。

5、当事者の一方が、相手方の代理人として売買契約をすることは、原則として禁止されるが、本人があらかじめ同意した場合は、このような契約の効果は本人に帰属する。


胡桃「これも基本的な判例の知識を問う問題だわ」
建太郎「おう。簡単だな」

胡桃「まず、1はどうかしら」
建太郎「間違いだな。どちらも主張できることになっている。次の判例のとおり」

両者は、互いに独立した制度であると解するのが相当である。したがつて、無権代理人の責任の要件と表見代理の要件がともに存在する場合においても、表見代理の主張をすると否とは相手方の自由であると解すべきであるから、相手方は、表見代理の主張をしないで、直ちに無権代理人に対し同法一一七条の責任を問うことができるものと解するのが相当である。(最判昭和62年7月7日)

胡桃「そうね。その上で、判例は次のように述べていることを押さえておいてね」

表見代理は本来相手方保護のための制度であるから、無権代理人が表見代理の成立要件を主張立証して自己の責任を免れることは、制度本来の趣旨に反するというべきであり、したがつて、右の場合、無権代理人は、表見代理が成立することを抗弁として主張することはできない(最判昭和62年7月7日)

建太郎「OK」
胡桃「2はどうかしら」
建太郎「正しいな。代理権授与の表示による表見代理は、本人からの代理権授与行為を前提とするから任意代理の場合だけ問題になると。それに対して、権限踰越による表見代理は、法定代理にも、適用がある」
胡桃「そうね。3はどうかしら」
建太郎「投資勧誘行為は事実行為に過ぎないんだよな。事実行為は基本だ意見になり得ないと」
胡桃「次の判例を押さえておいてね」

勧誘外交員を使用して一般人を勧誘し、金員の借入をしていた会社の勧誘員甲が、事実上長男乙をして一切の勧誘行為にあたらせて来たというだけでは、乙を甲の代理人として民法第一一〇条を適用することはできない。(最判昭和35年2月19日)

建太郎「OK」
胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「正しいな。次の判例のとおりだ」

約束手形が代理人によりその権限を越えて振り出された場合、手形受取人がその権限あるものと信ずべき正当の理由を有しないときは、その後の手形所持人は、たといこのような正当理由を有していても、民法第一一〇条の適用を受けることができない。(最判昭和36年12月12日)

建太郎「つまり、110条の第三者とは、無権代理の相手方を指すのであって、転得者は含まれないと」

民法
(権限外の行為の表見代理)
第百十条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

胡桃「そうね。5はどうかしら?」
建太郎「正しいな。条文そのままだ」

民法
(自己契約及び双方代理等)
第百八条 同一の法律行為について、相手方の代理人として、又は当事者双方の代理人としてした行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、債務の履行及び本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。
2 前項本文に規定するもののほか、代理人と本人との利益が相反する行為については、代理権を有しない者がした行為とみなす。ただし、本人があらかじめ許諾した行為については、この限りでない。

胡桃「そうね。すると答えは?」
建太郎「間違いは、1と3だな」




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posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 09:04| 司法試験入門問題