2019年04月24日

権利の変動 1−35 #司法試験 入門 択一式 #民法 オリジナル問題

Bは、代理権がないにもかかわらず、Aの代理人と称して、Cとの間でA所有の不動産を売却する契約を締結した。
この場合に関する次の記述のうち、間違っているものはどれか。

1、Cが、Bに代理権がないことについて、善意の場合は、Cは、Bとの契約を取消すことができるが、悪意の場合は取消すことができない。

2、AがBC間の売買を追認した場合は、別段の特約のない限り、契約の効果は、契約締結時に遡って、Aに帰属する。

3、Aは、Cから相当期間を定めて追認するかどうか催告されたが、催告期間を徒過した。この場合、Aは追認を拒絶したものとみなされる。

4、Bが未成年者であった場合は、Cは、そのことについて、善意無過失であれば、Bに対して、無権代理人の責任を追及することができる。

5、Cは、Bに代理権のないことについて、善意無過失である場合は、Bに対して、代理権があると信じたことによって被った損害の賠償を請求できるが、有効な契約の履行があったのと同一の利益の賠償を請求することはできない。


胡桃「これも無権代理に関する基本的な問題だわ」
建太郎「おう。簡単だな」


胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「正しいな。相手方は悪意の場合は、取消権を行使できない」

民法
(無権代理の相手方の取消権)
第百十五条 代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。

胡桃「ちなみにその理由は?」
建太郎「相手方が悪意の場合まで、取消権を認めて、本人から追認の機会を奪う必要はないからだな」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「正しいな。要するに遡及効があるということだ」

民法
(無権代理行為の追認)
第百十六条 追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「正しいな。条文そのままだ」

民法
(無権代理の相手方の催告権)
第百十四条 前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。

胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「間違いだな。無権代理人が未成年者の場合は、責任を問うことができないと」

民法
(無権代理人の責任)
第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

建太郎「第百十七条2項三号に他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。とあるとおりだ」
胡桃「そうね。5はどうかしら?」
建太郎「損害賠償の内容についてだな。判例は次のように述べている」

無権代理人の117条による損害賠償責任は、履行に代わるべき損害の賠償責任であって、信頼利益の損害の賠償に留まるべきものではない。(最判昭和32年12月5日)

胡桃「そうね。ということは間違いということになるわ。」
建太郎「OK」
胡桃「ということで答えは?」
建太郎「間違いは、4と5だな」




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posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 08:57| 司法試験入門問題