2019年05月08日

権利の変動 1−37 #司法試験 入門 択一式 #民法 オリジナル問題

次の記述のうち、間違っているものはどれか。

1、無権代理行為に対する本人の追認は、契約の時に遡ってその効力を生じるから、追認の効力の生じる時点を別段の意思表示により変更することはできない。

2、無権代理行為の相手方は、取消権を行使すると以後、無権代理人の責任を追及できない。

3、相手方のない単独行為について、無権代理行為がなされた場合は、当該行為は、常に無効となる。それに対して、相手方のある単独行為について、無権代理行為がなされた場合は、当該行為が有効となる場合がある。

4、無権代理行為の相手方が催告をした場合は、相当期間内に本人が確答しないときは、本人は追認したものとみなされる。

5、無権代理による契約の相手方は、契約当時に代理権がないことにつき、善意であれば、代理権のないことを過失により知らなかったとしても、取消権を行使できる。


胡桃「これも簡単だわね」
建太郎「えっ……。簡単か?」
胡桃「まず、1はどうかしら」
建太郎「間違いだな。条文によると」

(無権代理行為の追認)
第百十六条 追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

建太郎「別段の意思表示がないときはとなっているとおり、別段の意思表示によって、遡及しないこととすることもできると」
胡桃「そうね。2はどうかしら?」
建太郎「正しいな。無権代理行為の相手方は、取消権を行使すると、無権代理人の責任を追及できなくなるな」
胡桃「どうしてか分かるかしら」
建太郎「取消しによって、初めから、無権代理行為がなかったことになるからだな」

(無権代理人の責任)
第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

胡桃「そうね。3はどうかしら?」
建太郎「うーん。これはどう考えたらいいんだ?」
胡桃「まず、相手方のない単独行為の例としては何が上げられるかしら?」
建太郎「相手方がないということは、例えば遺言することとかかな」
胡桃「そうね。例えば、第三者が勝手に建太郎の遺言を書いていたとしたら、建太郎としてはどう思うかしら?」
建太郎「そんなの無効に決まっているじゃん。俺が書いたわけでもないし」
胡桃「そうね。つまり、無権代理行為は常に無効と解されているのよ。本人の追認によっても有効にすることはできないわ」
建太郎「当然だろうな」
胡桃「それに対して、相手方のある単独行為としてはどんなものが上げられるかしら?」
建太郎「取消権の行使とか解除権の行使だな」
胡桃「第三者が勝手に取消権を行使した場合は、原則として無効なのは分かるわね」
建太郎「当然だな」
胡桃「じゃあ、本人が追認する余地はないのかしら?」
建太郎「いや。あるかな」
胡桃「そうよ。すると、設問はどうかしら?」
建太郎「正しいんだな」
胡桃「次、4はどうかしら?」
建太郎「条文そのままの出題だな」

民法
(無権代理の相手方の催告権)
第百十四条 前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。

建太郎「本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。と」
胡桃「そうね。5はどうかしら?」
建太郎「正しいな。善意であればよく、無過失までは求められていないと」

民法
(無権代理の相手方の取消権)
第百十五条 代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。

胡桃「ということで答えは?」
建太郎「間違いは、2と4だな」




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posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 09:20| 司法試験入門問題