2019年05月09日

権利の変動 1−38 #司法試験 入門 択一式 #民法 オリジナル問題


次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1、乙の店でパートの仕事をしていた甲は、代理権がないにもかかわらず、白紙委任状を偽造したうえで、乙の代理人と称して丙に乙所有の不動産を売却する契約を締結した。甲に代理権がないことについて、丙が善意、無過失だったとしても丙は乙に対して、不動産の引渡しを請求できない。

2、乙の店でパートの仕事をしていた甲は、代理権がないにもかかわらず、白紙委任状を偽造したうえで、乙の代理人と称して丙に乙所有の不動産を売却する契約を締結した。甲に代理権がないことを知らないことにつき、丙に軽過失があるにすぎない場合でも、丙は甲に対して無権代理人の責任を追及することはできない。

3、甲と乙は共同で事業を行っており、甲は乙から一定の業務行為について、代理権を与えられていた。しかし、甲は、乙から与えられた代理権の範囲を超えて、乙の代理人として丙に乙所有の不動産を売却する旨の契約を締結した。丙が甲に当該不動産を売却する権限がないことについて、善意無過失であれば、丙は乙に対して、不動産の引渡しを請求できる。

4、甲と乙は共同で事業を行っており、甲は乙から一定の業務行為について、代理権を与えられていた。しかし、甲は、乙から与えられた代理権の範囲を超えて、乙の代理人として丙に乙所有の不動産を売却する旨の契約を締結した。甲の権限踰越行為を知らないことについて丙に軽過失がある場合でも、丙は乙に対して使用者責任に基づく損害賠償請求ができる。


胡桃「これも簡単だわ」
建太郎「えっ……。簡単か?」


胡桃「1はどうかしら?」
建太郎「これは間違いじゃないの?」
胡桃「ぶー。正しいのよ」
建太郎「えっ。どうして?」
胡桃「設問の事例では、白紙委任状を偽造しているとあるでしょ。すると、代理権授与の表示はないわけで、表見代理が成立しないのよ」
建太郎「あっ。そういうことか」
胡桃「次、2はどうかしら?」
建太郎「正しいな。無権代理人の責任を追及するには、相手方が無過失でなければならないとされている」

民法
(無権代理人の責任)
第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

胡桃「そうね。次、3はどうかしら?」
建太郎「正しいな。権限踰越の表見代理が成立するな」

民法
(権限外の行為の表見代理)
第百十条 前条第一項本文の規定は、代理人がその権限外の行為をした場合において、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由があるときについて準用する。

胡桃「4はどうかしら?」
建太郎「うーん。これは、そもそも、甲と乙は使用者関係にないということか」
胡桃「そのとおりよ。共同で事業を行っておりとなっているから、甲乙間に使用関係は存在しないということね」
建太郎「OK」
胡桃「ということで答えは?」
建太郎「間違いは4だな」





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posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 20:22| 司法試験入門問題