2019年05月14日

権利の変動 1−40 #司法試験 入門 択一式 #民法 オリジナル問題

次の記述のうち、誤っているものはどれか。


1、本人が無権代理人の締結した契約の履行を相手方に対して要求する行為は、法定追認に当たる。

2、無権代理人が締結した契約の一部の取消しを認めると法律関係が複雑になるので、相手方は契約の一部を取消すことができない。

3、無権代理人の行った法律行為が虚偽表示に当たり、無効な場合でも、本人は無権代理行為を追認することができる。

4、無権代理人が未成年者の場合でも、無権代理行為を行うについて、親権者の同意を得ていた時は、無権代理人の責任を負う。

5、無権代理行為の相手方が本人に追認を催告したが、相当期間内に追認の意思表示が相手方に到達しない場合は、本人は追認を拒絶したものとみなされる。


建太郎「むむっ……。簡単そうに見えて、難しくないか?」
胡桃「どれも重要な論点だから、一つ一つ確認していくわよ」


胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「うーん。これは判例?」
胡桃「そうね。次のとおりよ」

取り消しうべき行為についての法定追認を定めた民法一二五条の規定は、無権代理行為の追認には類推適用されないと解するのが相当である。(最判昭和54年12月14日)

建太郎「法定追認に当たらないと」
胡桃「なぜかというと、法定追認は、取り消しがあるまでは有効と扱われる行為だから、一定の理由により、有効に確定することを認めているという趣旨の制度なのよ」
建太郎「うん」
胡桃「それに対して無権代理の場合はどうかしら?」
建太郎「本人の追認があるまでは無効な行為だよな」
胡桃「そうよ。もともと、無効にしておくべきであって、追認があった場合に例外的に有効になるものなのよ。だから、法定追認の制度には親しまないということね」
建太郎「なるほどな」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「別に契約の一部の取消しを認めてもいいんじゃない?」
胡桃「そうね。判例も、契約が可分であれば、その一部を取消すこともできるとしているわ(大判大正12年6月7日)」
建太郎「OK」
胡桃「3はどうかしら?」
建太郎「うーん。これはできるということか?」
胡桃「そうね。追認は、代理権の欠缺を補充する制度であって、無権代理の法律行為が、虚偽表示等によって無効であることとは別の問題とされているのよ」
建太郎「つまり、虚偽表示による無権代理人の行為が無効であることは、追認を妨げる理由にならないということだな」
胡桃「次、4はどうかしら?」
建太郎「次の条文の問題だな」

民法
(無権代理人の責任)
第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。

建太郎「第百十七条2項三号に他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。は、無権代理責任を負わないとされている」
胡桃「そうね。じゃあ、未成年者が親権者の同意を得ていた場合どうかしら?」
建太郎「その場合は、未成年者の行為といえども有効になるから、無権代理人の責任も負うことになると?」
胡桃「そのとおりよ。次、5はどうかしら?」
建太郎「次の条文の問題だな」

民法
(無権代理の相手方の催告権)
第百十四条 前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。

胡桃「どう考えたらいいかしら?」
建太郎「相手方に伝わらなければ意味がないわけだから、発信するだけでなくて、到達も必要なんじゃないかな?」
胡桃「そうね。選択肢は正しいということになるわね」
建太郎「OK」
胡桃「ということで答えは?」
建太郎「間違いは、1と2だな」





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posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 20:41| 司法試験入門問題