2019年05月15日

権利の変動 1−41 #司法試験 入門 択一式 #民法 オリジナル問題

次の記述のうち、正しいものはどれか。

1、AはBの代理人として、B所有の不動産を売却する権限を有していた。Aは、右不動産をCに売却し、代金を借金の返済に充てた。Aに自己の利益のために行動する権限はなく、右行為は無権代理行為となるから、CがAの無権代理について、善意無過失であれば、CはBに対して、右不動産の引渡しを請求することができる。

2、Aは、何ら権限がないにもかかわらず、Bの代理人として、B所有の不動産をCに売却した。その後、Bが死亡したので、Aは他の相続人Dと共にBを共同相続した。AがBの立場で、追認拒絶することは信義則上許されないから、Dが追認拒絶すると右不動産は、CとDの共有となる。

3、Aは、何ら権限がないにもかかわらず、Bの代理人として、B所有の不動産をCに売却した。その後、Aが死亡したので、Bは他の相続人Dと共にAを共同相続した。さらに、Bも死亡したので、DはBも相続した。この場合、Dは追認拒絶できないから、無権代理行為は当然に追完される。

4、Aは、何ら権限がないにもかかわらず、Bの代理人としてB所有の不動産をCに売却した。Aの無権代理行為について、善意無過失であったCが、Bに対して、追認するよう催告したが、Bは追認を拒絶した。その後、AがBを単独で相続した場合は、無権代理行為は、当然、追完される。

5、Aは、Bから同人所有の土地に抵当権を設定する代理権を授与された。しかし、Aは、Bに成りすまして、Cに右土地を売却した。Cが過失なくしてAをBと信じた場合は、CはBに対して、土地の引き渡しを請求することができる。


胡桃「これも基本問題だわ」
建太郎「むむっ……。設定が長いな」


胡桃「まず、1はどうかしら?」
建太郎「つまり、代理権が濫用された場合だよな。この場合、無権代理と言えるのかどうかという問題だ」
胡桃「どう考えたらいいかしら?」
建太郎「判例があるんだよな」

代理人が自己または第三者の利益をはかるため権限内の行為をしたときは、相手方が代理人の意図を知りまたは知りうべきであつた場合にかぎり、民法第九三条但書の規定を類推適用して、本人はその行為についての責に任じないと解するのが相当である。(最判昭和42年4月20日)

民法
(心裡留保)
第九十三条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。

建太郎「つまり、無権代理ではなくて、心裡留保として判断するということだな。無権代理としている点で選択肢は間違いだと」
胡桃「そうね。2はどうかしら?」
建太郎「これも判例の問題だな」

無権代理人が本人を共同相続した場合には、共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、無権代理人の相続分に相当する部分においても、無権代理行為が当然に有効となるものではない。(最判平成5年1月21日)

胡桃「そうね。設問に当てはめるとどうなるかしら?」
建太郎「共同相続人Dが追認を拒絶していることから、無権代理人Aの相続分に相当する部分についても、無権代理行為は有効にならないわけで、A、Dの共有になると」
胡桃「次、3はどうかしら?」
建太郎「正しいな。次の判例のとおり」

無権代理人を本人とともに相続した者がその後更に本人を相続した場合においては、本人が自ら法律行為をしたと同様の法律上の地位ないし効果を生ずるものと解するのが相当である。(最判昭和63年3月1日)

胡桃「次、4はどうかしら?」
建太郎「間違いだな。これも判例があった」

本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、その後無権代理人が本人を相続したとしても、無権代理行為が有効になるものではない。(最判平成10年7月17日)

胡桃「そうね。5はどうかしら?」
建太郎「正しいな。判例があった」

代理人が直接本人の名において権限外の行為をした場合において、相手方がその行為を本人自身の行為と信じたときは、そのように信じたことについて正当な理由があるかぎり、民法一一〇条の規定を類推して、本人はその責に任ずるものと解するのが相当である。(最判昭和44年12月19日)

胡桃「そうね。ちなみに、改正法の次の条文もチェックしておくのよ」

民法
(代理権授与の表示による表見代理等)
第百九条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。
2 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間で行為をしたとすれば前項の規定によりその責任を負うべき場合において、その他人が第三者との間でその代理権の範囲外の行為をしたときは、第三者がその行為についてその他人の代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、その行為についての責任を負う。

建太郎「OK」
胡桃「ということで答えは?」
建太郎「正しいのは、3、5だな」



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posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 21:45| 司法試験入門問題