2019年06月06日

時効 1−49 #司法試験 入門 択一式 #民法 オリジナル問題

次の記述のうち、正しいものはどれか。

1、令和元年5月1日に、Aは、叔父から10万円を借りたが、その際返済期日を令和元年7月1日とし、同日に叔父がA宅に取りに来るとの約定がかわされた。この場合は、叔父が令和元年7月1日を過ぎても取りに来ない場合は、消滅時効は、令和元年7月2日から進行するが、令和元年7月1日を過ぎても履行遅滞にならない。

2、令和元年5月1日に、Aは、叔父からその所有する自動車を10万円で売ってもらうこととした。なお、履行期は定めていない。Aに10万円の用意ができた令和元年7月1日に叔父のところに車を引き取りに行ったが不在だった。この場合、自動車の引き渡し債務の消滅時効は、令和元年7月1日から進行し、令和元年7月2日から履行遅滞となる。

3、令和元年5月1日に、Aは、Bの車にひき逃げされて、翌日、Bが捕まったとの連絡を受けた。Aは事故による治療費をBに請求する場合、その請求権の消滅時効は、令和元年5月3日から進行し、この債務は、令和元年5月1日から履行遅滞となる。

4、令和元年5月1日に、Aは叔父に大学卒業後に車を贈与してもらう約束をした。Aは無事に、令和2年3月28日に、卒業したので、翌日、叔父のところに車を引き取りに行ったが不在だった。この場合、自動車の引き渡し債務の消滅時効は、令和元年5月1日から進行し、令和2年3月28日から履行遅滞となる。

5、令和元年5月1日に、Aは叔父から、祖父が亡くなったら、土地を分けてやるとの約束を受けた。祖父は、令和元年7月1日に、Aと叔父が見守る中、亡くなった。この場合、引き渡し債務の消滅時効は、令和元年5月1日から進行し、令和元年7月2日から履行遅滞となる。


建太郎「むむっ。設定が細かい問題だな」
胡桃「それでも基本的な内容が理解できていれば簡単な問題だわ」

胡桃「まず、1はどうかしら」
建太郎「どちらも正しいな。確定期限付き債務だから、消滅時効は期限の到来した時から進行すると。それから、時効期間の計算は初日不算入が原則なんだよな」

民法
(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。

第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

胡桃「そうね。じゃあ、履行遅滞についてはどう考えるべきかしら?」
建太郎「取立債務については、履行期が到来するだけでなくて、債権者が必要な協力をして初めて、履行遅滞に陥るんだよな」
胡桃「そうね。設問の場合は、叔父が取りに来ない限り、履行遅滞にはならないということね」
建太郎「OK」
胡桃「2はどうかしら?」
建太郎「消滅時効は間違いだな。自動車の引き渡し債務について期限を定めていない場合は、契約成立の翌日から進行すると」
胡桃「そうね。じゃあ、履行遅滞については?」
建太郎「債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。とされているな。次の条文の通り」

民法
(履行期と履行遅滞)
第四百十二条 債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。
2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
3 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。

建太郎「そして、実際に地帯に陥るのは催告の翌日とされているから正しいと」
胡桃「3はどうかしら」
建太郎「消滅時効も履行遅滞も正しいな。まず、消滅時効については次の通り」

民法
(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条の二 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。

建太郎「だから、損害及び加害者を知った日の翌日から進行すると」
胡桃「履行遅滞については?」
建太郎「不法行為の時からとされているよな」

不法行為に基づく損害賠償債務は、なんらの催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥るものと解すべきである。(最判昭和37年9月4日)

胡桃「次、4はどうかしら」
建太郎「どっちも間違いだな」
胡桃「どうしてかしら」
建太郎「まず、設問の債権は停止条件付き債権だよな」

民法
(条件が成就した場合の効果)
第百二十七条 停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
2 解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。

建太郎「停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。とされているから、条件が成就した時に、債権の効力が発生して時効が進行すると」
胡桃「設問の場合は?」
建太郎「Aが大学を卒業した翌日ということになるな。令和2年3月29日だ」
胡桃「じゃあ、履行遅滞はどうかしら?」
建太郎「停止条件付き債権だから、請求を受けた時から履行遅滞になると、設問の場合は、請求を受けた令和2年3月29日の翌日、令和2年3月30日だな」
胡桃「5はどうかしら?」
建太郎「設問は不確定期限付き債権だよな。不確定期限付き債権の場合は、期限が到来した時から、債権を行使できると、消滅時効もその時から進行するよな」
胡桃「設問の場合はどうかしら」
建太郎「祖父が死亡した日の翌日、令和元年7月2日だな」
胡桃「履行遅滞はどうかしら?」
建太郎「第四百十二条2項に債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。とある通りだな。設問の場合は、令和元年7月2日だと」
胡桃「そうね。すると答えは?」
建太郎「正しいのは1と3だな」




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posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 21:07| 司法試験入門問題