2019年06月21日

時効 1−54 #司法試験 入門 択一式 #民法 オリジナル問題

次の記述のうち、間違っているものはどれか。

1、債権は原則として取得時効の対象とならないが、不動産賃借権は、不動産を占有使用することを内容とするから、例外的に取得時効の対象となる。

2、取得時効における占有者の善意無過失は、占有の初めにおいて問題になる。これは、占有が承継され、承継された占有が合わせて主張される場合も同様であり、例えば、前占有者が占有の初めは、善意、無過失であったが、承継人は悪意有過失であった場合でも、10年間の短期取得時効が認められる。

3、不動産には、10年の短期消滅時効を認める明文がある。動産には、このような明文はないが、10年の短期取得時効が認められる。

4、取得時効の要件である所有の意思の有無は、占有取得の原因たる事実によって、客観的に定められる。例えば、賃借人や盗人には所有の意思がないとされているが、譲受人にはあるとされている。

5、占有者が任意にその占有を中止したときは、時効は中断される。また、占有者が他人にその占有を奪われた時にも、原則として時効は中断される。

胡桃「何の問題かわかるわね」
建太郎「取得時効の問題だな」


胡桃「まず、1はどうかしら」
建太郎「取得時効は占有を要件としているから、占有になじまない権利は取得時効の対象にならないよな。だから債権は原則として時効取得することはできない」
胡桃「不動産賃借権は、どうかしら?」
建太郎「判例があったんだな」

土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、土地賃借権を時効により取得することができる。(最判昭和43年10月8日)

建太郎「土地賃借権を時効により取得することができると」
胡桃「2はどうかしら」
建太郎「正しいな。取得時効の善意悪意は、占有の初めにおいて問題になると」

民法
(所有権の取得時効)
第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

胡桃「じゃあ、設問のように占有が承継される場合は?」
建太郎「判例があるんだよな」

不動産の占有主体に変更があつて承継された二個以上の占有が併せて主張された場合には、民法一六二条二項にいう占有者の善意・無過失は、その主張にかかる最初の占有者につきその占有開始の時点において判定すれば足りる。(最判昭和53年3月6日)

胡桃「3はどうかしら」
建太郎「正しいな。動産の場合は、即時取得があるから、10年待つまでもないと」

民法
(即時取得)
第百九十二条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。

建太郎「だから、第百六十二条2項の規定は、不動産に限られると解されていた。でも、即時取得は、取引によって占有を始めた場合に限られるから、取引によらずに占有を始めた場合はどうするのかという問題が生じると、そこで、第百六十二条2項の規定は、不動産に限る必要はないとされたんだよな」
胡桃「そうね。4はどうかしら」
建太郎「説明文は正しいな。判例も次のように述べている」

民法一八六条一項の所有の意思の推定は、占有者がその性質上所有の意思のないものとされる権原に基づき占有を取得した事実が証明されるか、又は占有者が占有中、真の所有者であれば通常はとらない態度を示し、若しくは所有者であれば当然とるべき行動に出なかつたなど、外形的客観的にみて占有者が他人の所有権を排斥して占有する意思を有していなかつたものと解される事情が証明されるときは、覆される。(最判昭和58年3月24日)

建太郎「ただ、設問は、盗人には所有の意思がないとしている点が間違いだな」
胡桃「そうね。盗人には所有の意思があるということね。次、5はどうかしら」
建太郎「正しいな。次の条文の通り」

民法
(占有の中止等による取得時効の中断)
第百六十四条 第百六十二条の規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断する。

胡桃「ということで答えは」
建太郎「間違いは4だな」



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posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 20:56| 司法試験入門問題