2019年06月23日

時効 1−55 #司法試験 入門 択一式 #民法 オリジナル問題

次の記述のうち、正しいものはどれか。

1、乙が所有する土地を甲は所有の意思をもち、かつ、自己の土地であると過失なく信じて占有していた。甲の占有開始から3年が経過した時点で、乙が丙に本件土地を譲渡し、丙は、所有権移転登記を経由した。そのあとで、甲が土地を7年間占有した場合は、甲は丙に対して、時効取得を主張できる。

2、乙が所有する土地につき、甲は所有の意思を持ち、かつ、自己の土地でないことを知りつつ、占有していた。甲の占有開始から21年が経過した時点で乙が丙に本件土地を譲渡し、丙は所有権移転登記を経由した。その後、甲が土地を9年間占有した場合は、甲は丙に対して、時効取得を主張できる。

3、乙が所有する土地につき、甲は所有の意思を持ち、かつ、自己の土地であることを過失なく信じて、占有していた。甲の占有開始から12年が経過した時点で、乙が丙に本件土地を譲渡し、丙は、所有権移転登記を経由した。さらに、甲が本件土地を自己の所有であると過失なく信じたまま、12年間占有した場合でも、甲は丙に対して、時効取得を主張できない。

4、乙が所有する土地について、甲は所有の意思を持ち、かつ、自己の土地であると過失なく信じて、占有していた。甲の占有開始から12年が経過した時点で、乙が死亡し、丙が乙を相続した。その後、甲が土地を8年間占有した場合は、甲は丙に対して時効取得を主張できる。

5、乙が所有する土地について、甲は所有の意思を持って、かつ、自己の土地であると過失なく信じて占有していた。甲の占有開始から12年が経過した時点で、乙が丙に本件土地を譲渡し、丙は、所有権移転登記を経由した。その後、甲は本件土地を自己の土地であると過失なく信じたまま8年間占有し、本件土地を現在、丙が所有していることを知っている丁に売却した。丁が本件土地を3年間占有した場合でも、丁は丙に対して、土地所有権の時効取得を主張できない。


建太郎「むむっ。設定が細かいな」
胡桃「それでも基本的なことを聞いているだけよ」



胡桃「まず、1はどうかしら」
建太郎「正しいな。次の判例の通り」

不動産の時効取得者は、取得時効の進行中に原権利者から当該不動産の譲渡を受けその旨の移転登記を経由した者に対しては、登記がなくても、時効による所有権の取得を主張することができる。(最判昭和41年11月22日)

胡桃「どうしてかわかるわね」
建太郎「甲から見れば、丙は当事者だからだな」
胡桃「そうね。2はどうかしら」
建太郎「間違いだな。設問の場合は、乙を軸にして、土地が甲と丙に二重に譲渡されたような関係になるから、登記を先に備えたほうが勝つと」
胡桃「3はどうかしら」
建太郎「間違いだな。設問の場合は、甲が時効取得できると。次の判例の通り」

不動産の取得時効が完成しても、その登記がなければ、その後に所有権取得登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえないが、第三者の右登記後に占有者がなお引続き時効取得に要する期間占有を継続した場合には、その第三者に対し、登記を経由しなくとも時効取得をもつて対抗しうるものと解すべきである。(最判昭和36年7月20日)

胡桃「そうね。4はどうかしら」
建太郎「正しいな。甲と丙は当事者の関係だから、登記なくして、時効取得を主張できると」
胡桃「そうね。相続人である丙は甲の地位を包括的に承継したからということね」
建太郎「OK」
胡桃「5はどうかしら」
建太郎「間違いだな。次の判例の通り」

不動産の占有主体に変更があつて承継された二個以上の占有が併せて主張された場合には、民法一六二条二項にいう占有者の善意・無過失は、その主張にかかる最初の占有者につきその占有開始の時点において判定すれば足りる。(最判昭和53年3月6日)

※民法
(所有権の取得時効)
第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

胡桃「ということで答えは」
建太郎「正しいのは、1と4だな」




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posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 19:25| 司法試験入門問題