2018年09月30日

民法は、私人間の法律関係を規律するための一般私法であり、実体法である。

民法とは何か。と聞かれた時に、法律を学んだ人であればこのように応えるであろう。
では、この文章は何を意味しているのだろうか。

まず、私法とは何か?

法は大きく分けて2つに分類することができる。
すなわち、公法と私法である。

公法は、公権力の構造や公権力と国民との関係を規律する法である。
例えば、憲法、刑法、裁判所法、刑事訴訟法などがこれに該当する。

一方、私法は、私人間の法律関係を規律する法律であり、民法、商法、借地借家法、建物の区分所有に関する法律などがこれに該当する。

その中でも民法は、私法の最も中心に位置する法律と言える。

次に、一般私法とあるが、これは、私法の一般法であることを意味する。
一般法とは、特別法と対になる概念である。
一般法とは、地域、人、事項について限定せずに、広く一般的に適用される法である。
これに対して特別法は、特定の地域、人、事項について、限定して適用される法である。一般法を補充したり、修正するものであり、ある法律関係について、特別法が存在するときは、特別法が、優先的に適用される。
その限りで、一般法の適用は排除されることになる。
このことを「特別法は一般法に優先する」と表現する。

次に、実体法とあるが、これは、手続法と対になる概念である。
実体法は、要件とその法律効果を定めるもの。
手続法は、実体法の確認ないし具体的実現を目的とする手続等を定めるものである。

民法では、私人間の法律関係について、その存否、内容を定めている。
これに対して、民事訴訟法や民事執行法では、民法に定められた権利義務を具体的に実現するための訴えの提起の仕方や強制執行の手続きを定めているわけである。

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近代私法の三原則は、権利能力平等の原則、所有権絶対の原則、私的自治の原則

近代私法は、市民革命によって、封建主義が否定されたことに始まる。
すなわち、すべての人間の自由、平等を実現するために、私法が作られたわけだが、私法の原則というべきものが、権利能力平等の原則、所有権絶対の原則、私的自治の原則の三原則である。

権利能力平等の原則とは、すべての自然人は等しく、権利義務の主体となる資格を有していることを意味している。
かつては、自然人であっても、奴隷とされたり、奴隷的地位にあって、権利を否定された者もいたが、市民革命によって、すべての自然人が生まれながらにして、平等に権利能力を有することという理念が打ち立てられた。
民法の条文にも、次のように定められている。

第三条 私権の享有は、出生に始まる。
2 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

この規定は、権利能力平等の原則を宣言したものと言える。

所有権絶対の原則とは、所有権は、何人に対しても主張するこどかでき、他人がその所有物に対する支配を干渉することはできないとする原則である。
他の私人はもちろん、国家といえども、所有権を犯すことはできないとされている。
この原則も、民法及び憲法の規定に見出すことができる。

まず、憲法には次のように定められている。

第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
○2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
○3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

第二十九条1項の規定がそれである。そして、これを受けて、民法に次の定めが設けられている。

(所有権の内容)
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

所有権絶対の原則により、資本主義社会の存立が法的に保障されているとも言える。

私的自治の原則とは、私的な法律関係については、個人は自らの自由意志に基づいて、自由に法律関係を形成できるという原則である。

この原則は、契約自由の原則、過失責任の原則も含んでいる。
契約自由の原則とは、契約を締結するかしないか、誰と契約を締結するか、どのような内容の契約を締結するのかという点について、自由に決定できるとするものである。もちろん、その前提として契約を締結するためには、自由意志に基づかなければならないということになる。

過失責任の原則とは、他人に損害を与えた場合に、その者が損害賠償責任を追わせられるには、加害者に何らかの帰責事由、つまり、故意や過失がなければならないとするものである。

この2つの原則により、資本主義社会が高度化したのである。

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所有権絶対の原則、私的自治の原則の修正

近代市民法原理により、個人の自由な経済活動が保障された結果、資本主義が飛躍的に発展した。
しかし、これにより弊害も出てくる。すなわち、資本家と労働者の階級的対立、公害問題の発生などにより、市民法原理の修正が必要になったのである。

所有権絶対の原則については、民法上にも修正が現れている。

(所有権の内容)
第二百六条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。

「法令の制限内において」とあるとおり、所有権が無限に認められるわけではないことが示唆されている。
また、次の規定からも、制約を受けることが読み取れる。

(基本原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。

つまり、所有権の内容及び行使が、公共の福祉ーー社会一般の利益に適合するように制約されることを意味しているわけである。

私的自治の原則も修正を余儀なくされている。
契約自由の原則は、格差が生じている現状では、経済的実力が対等な場合にのみ妥当するものであり、経済的弱者のために、国家が契約締結を強制あるいは制限すると言ったような介入を余儀なくされているわけである。

過失責任の原則も公害問題や大事故が発生するようになると、妥当とは言いがたくなっている。
すなわち、被害者保護の必要性から、企業活動によって利益を得ている者はこれによる損害も負担すべきであるとする報償責任の考え方。あるいは、危険な活動をする者は、その危険により発生した損害を賠償すべきであるとする危険責任と言ったような考え方が生じる。
更に、故意や過失がなくても、損害賠償責任を負うべきであるとする無過失責任を認める立法も登場している。
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