2018年11月20日

成年擬制

現行法では、婚姻による成年擬制という制度が設けられている。

(婚姻による成年擬制)
第七百五十三条 未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。

成年に達したものとみなされるということは、未成年でも、完全な行為能力者となる。
このような制度が設けられているのは次のような理由によるとされている。

1、結婚が精神の成熟を示すものである。
2、未成年者が結婚した後の親権や後見に服するとすれば、婚姻生活の自主独立性が害される。

では、未成年者が結婚したものの、未成年である間に離婚した場合は、再び、未成年者として親権に服することになるのだろうか?
通説はこれについて、成年擬制の効力は消滅しないとしている。つまり、再び、未成年者として親権に服するわけではない。

以上は現行法の解釈である。

改正法では次のように改められる。

第七百五十三条 削除

つまり、成年擬制という制度がなくなることになる。
なぜなら、婚姻適齢が男女ともに、十八歳になり、また、年齢十八歳をもって、成年となるため、未成年で結婚するという事態が想定されないからである。

(成年)
第四条 年齢十八歳をもって、成年とする。

(婚姻適齢)
第七百三十一条 婚姻は、十八歳にならなければ、することができない。
posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 20:00| 民法

未成年者の営業許可の取り消しと制限

法定代理人が未成年者に対して、民法第六条1項に基づいて、営業の許可をした場合でも、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
民法第六条2項のとおりである。

(未成年者の営業の許可)
第六条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

なお、条文の文言では、「取り消し」となっているが、これは、「撤回」の意味である。
つまり、未成年者が営業を許されている間にした取引行為がすべて、取り消しうるものになることを意味しているのではない。

法定代理人が2項の規定によって、許可を取り消したり制限するには、「未成年者がその営業に堪えることができない事由」が必要となる。
つまり、現実に、営業するには力量不足だったという「事由」がなければならない。
単に、法定代理人の「見ていて、ひやひやする」と言ったような主観だけで、許可を取り消したり制限することはできない。取引の安全が害されるおそれがあるからである。

営業許可の取り消しや制限の方法は、第四編(親族)の規定に従うとされている。
よって、次の規定が準用されることになる。

(職業の許可)
第八百二十三条 子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
2 親権を行う者は、第六条第二項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

(未成年被後見人の身上の監護に関する権利義務)
第八百五十七条 未成年後見人は、第八百二十条から第八百二十三条までに規定する事項について、親権を行う者と同一の権利義務を有する。ただし、親権を行う者が定めた教育の方法及び居所を変更し、営業を許可し、その許可を取り消し、又はこれを制限するには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。

posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 19:42| 民法

2018年11月16日

未成年者の営業の許可

第六条1項によると、「一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。」とされている。

(未成年者の営業の許可)
第六条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。

これは、営業を行うにあたって、直接、あるいは間接的に必要な法律行為の一切について、法定代理人の同意を要すること無く単独ですることができる。
その営業の範囲においては、法定代理人の同意を要しないことはもちろん、法定代理人の同意権が消滅することを意味している。

ここで言う営業とは、広く営利を目的とする事業を意味する。
しかし、自己の計算において行われるものであることを要し、他人に雇われて働く場合は、営業に含まれないことに留意しよう。

営業の許可は、一種又は数種の営業についての許可でなければならない。
これには次のような意味があることに留意しよう。

・営業の種類まで特定しなければならない。
・あらゆる種類の営業許可は許されない。
・一種の営業許可の一部のみの許可は許されない。

また、営業の許可は、特別の方式による必要はなく、また、明示する必要はなく、黙示でもよいとされている。
判例によると、未成年者の営業を親権者が黙って監督していたという場合でも、許可があったものと解している。
posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 20:32| 民法

2018年11月15日

法定代理人が目的を定めて処分を許した財産

法定代理人が目的を定めて処分を許した財産を処分することは、未成年者でも単独で有効になしうる。
条文をチェックしておこう。

(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

なぜ、この財産の処分を、未成年者が単独ですることが許されているのかというと、法定代理人が事前に同意を与えているのと同様に捉えることができるからである。

法定代理人が目的を定めて処分を許すという意思表示は、未成年者に対してなされるのが普通であろうが、未成年者の取引の相手方に対して、意思表示しても良いとされている。

では、未成年者が有するすべての財産について、法定代理人が処分を許すことができるのだろうか?
この点については、許されないと解するのが通説である。
なぜならば、このような形で処分を許すことは、実質的に、未成年者の制限行為能力を全面的に解除したも同然の効力を生じさせてしまうからである。

法定代理人が未成年者の財産の処分を許す方法としては、2つのパターンがある。
1、目的を定めて処分を許す
2、目的を定めないで処分を許す

1の例としては、未成年者がお店で買い物をするに先立ち、法定代理人が「この額の範囲内で買い物をしなさい」と言う趣旨で金銭を差し出すような場合である。
未成年者としては、その額の範囲内であれば自由に、買い物をすることができる。

2の例としては、お小遣いを与える場合や、である。
そのお小遣いは、貯金しようとも、すぐに使おうとも、未成年者の自由である。
したがって、数年にわたって、お小遣いを貯めたうえで、未成年者が単独で高額な買い物をしたとしても、その売買契約は取り消しうるものにならないと解されている。

posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 22:26| 民法

単に権利を得、又は義務を免れる法律行為

未成年者は、法定代理人の同意を得なければ、単独では有効に法律行為をすることができないのが原則である。
しかし、いくつかの例外もある。
条文をチェックしておこう。

(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

(未成年者の営業の許可)
第六条 一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有する。
2 前項の場合において、未成年者がその営業に堪えることができない事由があるときは、その法定代理人は、第四編(親族)の規定に従い、その許可を取り消し、又はこれを制限することができる。


まず、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、未成年者でも単独でできることになっている。
例えば、次のような法律行為がこれに該当する。

・負担のない贈与や遺贈を受ける行為。
・債務免除を受ける契約における承諾。

これらの法律行為には、未成年者に不利益がないからである。

なお、注意したいことは、『債務の弁済を受けること』は、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為に該当しないことである。
債務の弁済を受けることによって、債権を失うことになるため、単に権利を得たことにならない。
つまり、現金等を受け取ることにより利益を得ていてもそれによりもともと持っていた債権を失っているという関係にあるからである。

また、次のような場合も、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為に当たらないので確認しておこう。

・負担付きの贈与や遺贈を受けること。
・相続の承認や放棄。あるいは負担付きかどうかを問わず、遺贈を放棄すること。


posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 22:09| 民法

2018年11月14日

未成年者の法律行為の取消

未成年者が法定代理人の同意を得ずに法律行為をした場合は、取り消すことができるとされている。
次の条文の通り。

(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

この取消権を、法定代理人が行使できることについては問題ない。
条文にも次のように定められている。

(取消権者)
第百二十条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為にあっては、当該他の制限行為能力者を含む。)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
2 錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。

では、未成年者本人が取り消すことはできるのだろうか?
つまり、制限行為能力者である未成年者自身が、単独で取消権を行使することに問題はないのだろうかという疑問が生じる。
これについては、未成年者は単独で取消権を行使できるし、これについて法定代理人の同意は必要ない。とするのが通説である。
もしも、取消権を行使するのに法定代理人の同意が必要と解すると、未成年者が無断で取消権を行使した場合、法定代理人がその取消権の行使を取り消すことができる。という複雑な法律関係を生じさせてしまうことになる。
これならば、取り消した行為は、そこで終わらせて、改めて法律行為をしたほうが良いということになろう。

もっとも、未成年者が単独で取消権を行使するにしても、意思能力は有している必要がある。
意思能力を有しない幼児等が取消権を行使しても、無効である。


posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 21:02| 民法

未成年者の法律行為についての法定代理人の同意

未成年者の法律行為についての法定代理人の同意は、未成年者に対して与えるのが原則である。
条文にも次の通り定められている。

(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。


では、未成年者ではなく、未成年者と取引する相手方に対して同意する旨の意思表示をすることはできるのだろうか?

通説によると、この同意も有効と解されている。
同意があるかどうかにより、法律行為が取り消されうる行為かどうかが決定されるため、これについて最も利害関係を有するのは、取引の相手方だからである。

では、追認はどうだろうか。
追認は、未成年者に対してすることはできず、取引の相手に対してしなければならないとされている。
次の条文のとおりである。

(取消し及び追認の方法)
第百二十三条 取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には、その取消し又は追認は、相手方に対する意思表示によってする。


次に、法定代理人は同意した後で、同意を撤回することはできないのだろうか?
これについては、未成年者が同意を得て法律行為をしたかどうかによる。
未成年者が行為した後は、もはや、同意を撤回することはできないが、未成年者が行為する前であれば、無条件で、撤回できるとされている。
また、この同意の撤回ができる場合は、善意の第三者に対しても対抗できることになるとされている。

posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 20:51| 民法

2018年11月12日

未成年者の法定代理人が代理人である場合の同意権

未成年者の法定代理人が代理人であるというケースだと、代理人と子供の間には何らの血縁関係もないことがある。
血縁関係がないと代理人の未成年者に対する対応がなおざりになりかねないので、親権者の場合に比べて制約を受ける場合がある。
例えば、次のような規定がある。

(後見監督人の同意を要する行為)
第八百六十四条 後見人が、被後見人に代わって営業若しくは第十三条第一項各号に掲げる行為をし、又は未成年被後見人がこれをすることに同意するには、後見監督人があるときは、その同意を得なければならない。ただし、同項第一号に掲げる元本の領収については、この限りでない。

第八百六十五条 後見人が、前条の規定に違反してし又は同意を与えた行為は、被後見人又は後見人が取り消すことができる。この場合においては、第二十条の規定を準用する。
2 前項の規定は、第百二十一条から第百二十六条までの規定の適用を妨げない。


後見人に対してさらに、後見監督人が選任されている場合は、第十三条に列記されているような重要な取引については、後見監督人の同意も得なければならないということである。
そして、後見人が、後見監督人の同意も得ていない場合は、その法律行為は取り消しうるものとなる。

※(保佐人の同意を要する行為等)
第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
一 元本を領収し、又は利用すること。
二 借財又は保証をすること。
三 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
四 訴訟行為をすること。
五 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
六 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
七 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
八 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
九 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
十 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。
2 家庭裁判所は、第十一条本文に規定する者又は保佐人若しくは保佐監督人の請求により、被保佐人が前項各号に掲げる行為以外の行為をする場合であってもその保佐人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
3 保佐人の同意を得なければならない行為について、保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被保佐人の請求により、保佐人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。
posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 21:19| 民法