2018年11月12日

未成年者の法定代理人が親権者の場合の同意権

未成年者の法定代理人が親権者の場合は、親権者はどのようにして、未成年者を保護するための権限を行使するのだろうか。
これについては、民法に規定があるので確認しておこう。

(親権者)
第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

親権者が未成年者を保護するために行使する権限のことを親権という。
親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行うこととされている。
よって、未成年者の法律行為について、親権者である父母が同意する場合は、父と母の双方が同意しなければならないのが原則である。
もしも、父が同意したとしても、母が反対しているのであれば、その法律行為は取り消しうるものとなる。

例えば、父と買い物に行った子供が父の同意を得てゲーム機を購入したとしても、家に帰ってから母から、ゲーム機を買ってはいけない。と反対されてしまったならば、そのゲーム機の売買契約は取り消しうるものになってしまうということである。

ただ、次の条文をチェックしておこう。

(父母の一方が共同の名義でした行為の効力)
第八百二十五条 父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。

上記の事例であれば、父が子供に対してゲーム機の購入の同意を与えるに際して、「お母さんもいいと言っていた」などと述べて、いかにも父母がそろって同意しているかのような形で、同意を与えてしまった場合は、母が実際には反対の意思を有していたとしても、取り消すことができなくなってしまう。
これは、子供の取引の相手方を保護するための規定である。
すなわち、相手方が、そのことについて善意であれば、取り消すことができないということになる。
一方、相手方が、その子の母親は絶対に反対しているはずだと気づいていればーー悪意ならば、父が上記のような形で同意したとしても、取り消しうるものになるということである。



posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 21:10| 民法

2018年11月09日

【公務員試験、行政書士試験対応版】ライトノベルで学ぶ 行政法総論


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 ライトノベルで学ぶ 民法条文 逐条解説シリーズに引き続き、宅本建太郎&桜咲胡桃のコンビが登場。
 建太郎は、司法書士の胡桃の指導を受けながら、行政法について学んでゆく。
 公務員試験や行政書士試験を目指すつもりのない建太郎。なぜ、行政法の勉強をやらされるのか疑問を抱くが、胡桃によると、行政法を勉強すれば、宅建士試験でも役立つのだとか……。

・主な登場人物

 宅本建太郎
 桜咲司法書士事務所補助者。宅建資格の勉強中。ひょんなことから伯父不動産王 宅本健一の莫大な遺産を相続することになる。『株式会社 宅本・オーガナイゼーション』の二代目会長兼社長に就任。

 桜咲胡桃
 宅建士。司法書士。桜咲司法書士事務所所長。宅本建太郎の上司にして恋人。元アイドルで可愛い顔立ちに、小柄ながらもB90 W60 H86と素晴らしいボディの持ち主。


●著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

 大滝 七夕
 新潟県村上市出身。『大滝七夕』は、ネット小説・著作限定のペンネームで本名や作家名ではない。
 法学部在学中から資格試験の勉強を始め、宅建、行政書士、司法書士の資格試験に独学で一発合格。大学卒業後は、都内の行政書士事務所、法律事務所等に勤務する傍ら、法律雑誌の記事や小説を執筆。その後、某新人賞に応募して、作家デビュー。法律知識と実務経験をもとにしたリーガルサスペンス、ファンタジー、武侠小説などを執筆している。
 行政書士として開業しており、十数年以上にわたり、建設業、宅建業の後継者問題、事業承継を専門的に手掛けている。(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 判例六法ラノベ化プロジェクト
 小説を読む感覚で、隙間時間にすらすらと読めて、なおかつ、『ハイレベルな』教材を開発しようと集まったベテランの実務家(弁護士、司法書士、行政書士、宅建士等)と資格スクール講師の集団。日々、試行錯誤しながら、新しい教材を開発中!
posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 19:17| ライトノベルで学ぶ 行政法 完全解説

未成年者の法定代理人とは?

未成年者は意思能力がないーー例えば就学前の幼児ーー場合や、意思能力が不十分な場合があるため、一律に制限能力者とされている。
現行法では、18歳の者は未成年とされているが、その歳であれば、大学に通い法律を勉強している者もいるであろう。
民法についてかなり詳しく知っている者もいるはずである。そんな人まで、制限能力者とするのはどうなのかと思うかもしれない。
しかし、人の成長には個人差があるため、未成年であれば一律に、制限能力者としたのである。

未成年者は、原則として単独で有効に法律行為をすることができない。法律行為をするためには、法定代理人の同意を得なければならないとされている。

次の条文のとおりである。

(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

では、法定代理人とは誰なのか?
第一次的には、親権者である。親権者については次の条文に定めがある。

(親権者)
第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。

ここで、注意したいのは、実父母のほか、養親も親権者であるということである。
養親は、次に述べる未成年後見人ではない。

第二次的には、今、述べたとおり、未成年後見人である。
未成年後見人は、未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。に選任されることになっている。
次の条文のとおりである。

第一節 後見の開始
第八百三十八条 後見は、次に掲げる場合に開始する。
一 未成年者に対して親権を行う者がないとき、又は親権を行う者が管理権を有しないとき。
二 後見開始の審判があったとき。

両親がともに事故死、病死した場合が典型例である。
両親が、生存していたとしても、何らかの事情で、親権者として、ふさわしくないような場合はやはり、未成年後見人が選ばれることになる。


posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 16:43| 民法

2018年11月08日

年齢計算ニ関スル法律

未成年者とは成年に達しない者のことである。このブログを欠いている時点では満二十歳を以って成年とされている。

なお、平成三十四年四月一日以降は、次のとおり改められるので確認しておこう。

(成年)
第四条 年齢十八歳をもって、成年とする。


では、より具体的には、いつから、成年となるのだろうか。

例えば、平成十年五月五日に生まれた者は、平成三十年五月五日に成年になっていることは確かであるが、より細かく、何時何分から、成年に達したことになるのか? という問題である。

これについては明治時代に制定された法律が参考になる。

明治三十五年法律第五十号(年齢計算ニ関スル法律)
○1 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
○2 民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
○3 明治六年第三十六号布告ハ之ヲ廃止ス

※民法
(暦による期間の計算)
第百四十三条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。


この法律によると年齢の数え方については、出生の日から起算する。つまり、初日算入主義である。
そして、暦に従って、計算することになる。
すると、平成十年五月五日に生まれた者は、平成三十年五月四日午後十二時の時点で、成年に達するということである。
要するに日付が誕生日の日に変わった時点で、成年に達したことになる。

この時点を境に、単独で有効に法律行為ができることになる。

posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 19:40| 民法

制限能力者制度の意義

民法は、一般的に、意思能力を有しない者や意思能力の不十分な者を定型化して、制限能力者とし、行為能力を制限している。
これらの者が単独でした法律行為については、意思能力の有無を問題とせずに、常に取り消しすることができるものとし、これらの者の行為能力を補充するための保護者をつけることとした。

これが制限能力者制度である。

そもそも、意思能力がない者が法律行為をしたとしても、無効とされている。
民法にも次の規定が設けられている。

第二節 意思能力
第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

ならば、このような制限能力者制度は、なぜ、設けられているのだろうか?

それは、法律行為の時に、意思能力がなかったことの立証が困難な場合が多いからである。

そこで、先手を打って、制限能力者であるとしておけば、意思能力がなかったことを立証するまでもなく、法律行為を取り消すことができ、その人の保護に資することになるというわけである。

一方、取引の相手方としても、制限能力者であることが予めわかっていれば、取り消されるかもしれないということを警戒して、慎重に取引を行うことができる。

posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 19:15| 民法

2018年11月05日

行為能力

行為能力とは、単独で、瑕疵のない完全な法律行為をすることができる能力のことである。これを有しない者が、制限能力者となる。

民法では制限能力者として、次の者を定めている。

1、未成年者
2、成年被後見人
3、被保佐人
4、被補助人

なお、被補助人については、制限能力者に該当しない場合もあることを押さえておこう。
すなわち、特定の法律行為につき、補助人の同意を要する旨の審判がなく、特定に法律行為について、補助人に対して、代理権を付与する旨の審判をしたにとどまる被補助人は、制限能力者には該当しない。


※参考条文

(被補助人及び補助人)
第十六条 補助開始の審判を受けた者は、被補助人とし、これに補助人を付する。

(補助人の同意を要する旨の審判等)
第十七条 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求により、被補助人が特定の法律行為をするにはその補助人の同意を得なければならない旨の審判をすることができる。ただし、その審判によりその同意を得なければならないものとすることができる行為は、第十三条第一項に規定する行為の一部に限る。
2 本人以外の者の請求により前項の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助人の同意を得なければならない行為について、補助人が被補助人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は、被補助人の請求により、補助人の同意に代わる許可を与えることができる。
4 補助人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。

(補助人に代理権を付与する旨の審判)
第八百七十六条の九 家庭裁判所は、第十五条第一項本文に規定する者又は補助人若しくは補助監督人の請求によって、被補助人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判をすることができる。
2 第八百七十六条の四第二項及び第三項の規定は、前項の審判について準用する。


第十七条と第八百七十六条の九の審判がどちらも、「審判をすることができる。」となっていることを確認しよう。
これは、どちらか一方の審判のみを選択できることを意味している。
posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 20:28| 民法

意思能力

意思能力とは、自分の行為の結果を認識、判断することができる精神的能力のことである。
精神上の障害により事理を弁識する能力を能力を欠いている者や幼児のように意思能力のない者のした行為については、無効である。
この点について、長らく、民法には規定が置かれていなかったが、債権法改正に伴い、次の規定が新設された。

【改正法】
第二節 意思能力
第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

幼児は意思能力がないとされている。
例えば、幼児が、コンビニに買い物に来たとしても、有効に買い物をすることは難しいと言わざるを得ない。
しかし、未成年者が一律に意思能力がないとされるわけではない。
例えば、健常な中学生や高校生が、コンビニで買い物をするのはごく当たり前のことで何ら問題がない。彼らには完全な意思能力があるからである。

では、どのくらいの年頃の子ならば、意思能力があると言えるのか。
この点については、民法にも規定は設けられていない。子供の成長には個人差があるので、何歳から、意思能力ありと線引きすることは難しいからである。

しかし、概ね、小学校入学を境に意思能力が備わり始めると言われている。
これが一応の目安になると解されている。よって、就学前の幼児には、意思能力がないと解するのが一般的である。

例えば、就学前の幼児が、他人から、贈与の申し込みを受け、これに対して幼児が承諾しても、無効である。
なぜなら、就学前の幼児には、一般的に意思能力がないからである。




posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 20:18| 民法

2018年11月04日

外国人の権利能力と外国人土地法

外国人の権利能力に関連して、次の法律をチェックしておこう。

外国人土地法
第一条 帝国臣民又ハ帝国法人ニ対シ土地ニ関スル権利ノ享有ニ付禁止ヲ為シ又ハ条件若ハ制限ヲ附スル国ニ属スル外国人又ハ外国法人ニ対シテハ勅令ヲ以テ帝国ニ於ケル土地ニ関スル権利ノ享有ニ付同一若ハ類似ノ禁止ヲ為シ又ハ同一若ハ類似ノ条件若ハ制限ヲ附スルコトヲ得

「帝国臣民又ハ帝国法人」とあるが、この法律は、現行法である。
外国人や外国法人が、日本における土地取得を制限する法律であるが、どういう場合に制限されるのかというと、その外国人の外国法で、日本人の土地取得を制限している場合は、その外国人は日本において、土地取得が制限される。とされている。
例えば、アメリカの法律により、日本人(外国人)の土地取得が制限されている場合、アメリカ人は日本において、土地取得が制限されるという具合である。
これを相互主義と呼ぶ。

もっとも、現在、この外国人土地法に基づく政令は存在しない。
よって、日本では、どの国の外国人でも、土地を取得できることとなっており、領土問題などに絡んで、問題になることがある。

また、民法には、条約の規定により外国人の権利能力が制限されることがあるとされている。

民法
第一節 権利能力
第三条 私権の享有は、出生に始まる。
2 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

しかし、現在、外国人の権利能力を制限する条例はない。
posted by 判例六法ラノベ化プロジェクトチーム at 04:58| 民法