民法133 判例六法問題 銀行が、無記名定期預金につき真実の預金者と異なる者を預金者と認定し、この者に対し、右預金と相殺する予定のもとに貸付をし、その後右の相殺をするときには、民法第四百七十八条が類推適用されるのか。

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★今日の問題★
次の記述の正誤を答えよ。

 銀行が、無記名定期預金につき真実の預金者と異なる者を預金者と認定し、この者に対し、右預金と相殺する予定のもとに貸付をし、その後右の相殺をするときには、民法第四百七十八条が類推適用される。

10秒で考えよう。よーいドン!

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★今日の解説★

 正しい。
 判例も次のように判示している。

 無記名定期預金契約において、当該預金の出捐者が、自ら預入行為をした場合はもとより、他の者に金銭を交付し無記名定期預金をすることを依頼し、この者が預入行為をした場合であつても、預入行為者が右金銭を横領し自己の預金とする意図で無記名定期預金をしたなどの特段の事情の認められないかぎり、出捐者をもつて無記名定期預金の預金者と解すべきであることは、当裁判所の確定した判例であり(昭和二九年(オ)第四八五号同三二年一二月一九日第一小法廷判決・民集一一巻一三号二二七八頁、昭和三一年(オ)第三七号同三五年三月八日第三小法廷判決・裁判集民事四〇号一七七頁)、いまこれを変更する要はない。
 けだし、無記名定期預金契約が締結されたにすぎない段階においては、銀行は預金者が何人であるかにつき格別利害関係を有するものではないから、出捐者の利益保護の観点から、右のような特段の事情のないかぎり、出捐者を預金者と認めるのが相当であり、銀行が、無記名定期預金債権に担保の設定をうけ、または、右債権を受働債権として相殺をする予定のもとに、新たに貸付をする場合においては、預金者を定め、その者に対し貸付をし、これによつて生じた貸金債権を自働債権として無記名定期預金債務と相殺がされるに至つたとき等は、実質的には、無記名定期預金の期限前払戻と同視することができるから、銀行は、銀行が預金者と定めた者(以下、表見預金者という。)が真実の預金者と異なるとしても、銀行として尽くすべき相当な注意を用いた以上、民法四七八条の類推適用、あるいは、無記名定期預金契約上存する免責規定によつて、表見預金者に対する賃金債権と無記名定期預金債務との相殺等をもつて真実の預金者に対抗しうるものと解するのが相当であり、かく解することによつて、真実の預金者と銀行との利害の調整がはかられうるからである。(最判昭和48年3月27日)

【判例六法を丸暗記して合格安全圏を目指そう!】ライトノベル小説・会話文で読む民法判例 問題&解説1【司法試験・司法書士試験・行政書士試験対策】判例六法個人レッスン

【判例六法を丸暗記して合格安全圏を目指そう!】ライトノベル小説・会話文で読む民法判例 問題&解説2【司法試験・司法書士試験・行政書士試験対策】判例六法個人レッスン

□ 判例問題の解き方を会話文形式で解説する画期的な問題集です!

 本書の最大の特徴は、解説が、「会話文形式」になっていることです。
 講師役の桜咲胡桃(司法試験合格済みの司法書士)が、生徒役の宅本建太郎(宅建すら合格していない)に個人レッスンするという設定で、話が進みます。
 つまり、本書の会話文を追うことで、「ベテランの講師から民法判例問題の解き方の個人レッスンを受けている」のと同様の効果が得られます。

□ 合格者の思考方法が身につく!

 解説は、合格者が問題を前にした時にどのような思考を辿って、正答にたどり着いているのかを会話文形式で表現しています。解説を読むことによって、合格者と同じ思考方法を身につけることかできます。

□ 問題を解くだけで判例六法を丸暗記するのと同じ効果!

 本書に掲載している問題は、「【司法試験入門・司法書士・行政書士試験対策】民法判例 肢別100問ドリル 暗記カード式判例問題集」シリーズから選抜しています。
 この問題集は、繰り返し解くことによって、判例六法を丸暗記することを目指したものです。
 司法試験・司法書士試験・行政書士試験と言った難易度の高い資格試験では、条文だけでなく、判例からの出題も数多くあります。判例を覚えるためには判例六法などを読めばよいわけですが、細かい文字で概要だけが書かれている判例六法をそのまま暗記しようとしてもなかなかできることではありません。
 そこで、一般的な判例六法に掲載されている判例をすべて問題化したのが、「【司法試験入門・司法書士・行政書士試験対策】民法判例 肢別100問ドリル 暗記カード式判例問題集」シリーズです。
 本書のシリーズは、上記のシリーズの問題から、特に重要な問題を選抜して詳細に解説しました。