★今日の過去問★
AがBとの契約を締結する前に、信義則上の説明義務に違反して契約締結の判断に重要な影響を与える情報をBに提供しなかった場合、Bが契約を締結したことにより被った損害につき、Aは、不法行為による損害賠償責任を負うことはあっても、債務不履行による損害賠償責任を負うことはない。
胡桃「正しいか間違っているか考えてみてね。10秒で。よーいどん!」
建太郎「おう」
1秒
2秒
3秒
4秒
5秒
6秒
7秒
8秒
9秒……
胡桃「10秒経過。分かったわね」
建太郎「よく分からない。これは判例なのか?」
胡桃「そうよ。判例よ。判例をそのまま覚えてしまえばいいわけだけど、不法行為による損害賠償請求と債務不履行による損害賠償請求の違いが分かっていれば、判例を知らなくても、正誤は判断できるわ」
建太郎「うん?どういうこと?」
胡桃「債務不履行による損害賠償請求ってどういう場合にできるの?」
建太郎「債務者が債務を履行しない場合だろ。民法第四百十五条にはこうあるよな」
民法
(債務不履行による損害賠償)抜粋
第四百十五条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
胡桃「そうよ。それに対して、不法行為による損害賠償請求はどういう場合にできるの?」
建太郎「相手に法律上保護される利益を侵害された場合だよな」
民法
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
胡桃「この二つの条文を見比べれば、何が前提になるか、分かるでしょ?」
建太郎「あっ。そういうことか。債務不履行による損害賠償をするには、相手方と債権者債務者の関係にあることが前提なんだよな。それに対して、不法行為による損害賠償は、相手方と法律関係があるかどうかは問わない。見知らぬ人に、いきなり、物を壊された場合でも、賠償しろと求めることができるわけだよな」
胡桃「そうよ。それをふまえた上で、問題文を読んでみて」
建太郎「AがBとの契約を締結する前に……。あっ、契約を締結する前であれば、まだ、債権者債務者の関係にはないから、債務不履行による損害賠償はできないということか?」
胡桃「そうよ。それだけの話なのよ。とりあえず、この事例は判例だから押さえておいてね」
これで民法が解けなければあきらめてください!
ライトノベル小説・会話文で読む民法問題&解説シリーズ
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□ 民法の問題の解き方を会話文形式で解説する画期的な問題集です!
本書の最大の特徴は、解説が、「会話文形式」になっていることです。
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つまり、本書の会話文を追うことで、「ベテランの講師から民法問題の解き方の個人レッスンを受けている」のと同様の効果が得られます。
□ 合格者の思考方法が身につく!
解説は、合格者が問題を前にした時にどのような思考を辿って、正答にたどり着いているのかを会話文形式で表現しています。解説を読むことによって、合格者と同じ思考方法を身につけることかできます。
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